Suicaは天下を取れる(はずだった…)
「決済」というフィールドにおいて日本、ひいては世界的に大革新が起こっている。
決済といえば現金、もしくはスーパービッグなお買い物の時のみクレジットカードというのが当たり前な日本だった。
時は2011年…
Suicaの誕生
Suicaが誕生する。切符を買わなければ乗車できないかつてのシステムとは異なり、あらかじめチャージをして「かざすだけ」というのは革新的だった。
それとほぼ時を同じくして、キャッシュレス化の波が押し寄せる。
そこで起こったのは、
「モノ」としての通貨から、「情報」としての通貨への移行である。
考えてみれば、通貨はなんだって良い。ただ一つ、それが通貨として価値を認められさえすれば。あるいは、価値を代替できるのであれば。
そしてもう一つ、それが全体に普及され、認知されること。
今では当たり前となったクレジットカードも、ある種「情報」としての通貨の役割をしている。
このお店でこれだけのお金を使いましたよ。という情報を元に、引き落としが行われる。情報としての通貨が引き落としまでの間、価値を代替している。
しかし、現在の日本では「クレジットカード」「現金」「QR決済」「交通系IC」などが決済というフィールドで戦いを繰り広げている。
私は声を大にして言いたい。
Suicaはこの戦いに勝利できる(できたはず)だと。
Suicaが勝てる理由その①
私が、Suicaが勝てると思う一番の理由。
それは、圧倒的な普及率にある。
冒頭で述べたように、通貨として用いられる場合には全体に普及、認知される必要がある。
ある場所では使えるが、他では使えないのであれば、通貨としての役割を果たさないからだ。
通貨を扱う「決済」というフィールドにおいても言わずもがな普及、認知が求められる。
これは大丈夫だろう。
もう少しいえば通貨を扱う以上、広く普及し、認知されたものが決済方法として優位性を持つだろう。
どこでも使えるのであれば、それを使うのが最も効率のよい決済になるからだ。
そしてこの点において、「現金」は長年、決済の王であり続けている。日本で決済をする以上「日本円」は無敵だ。
そして、この「普及率」にこそSuicaの最大の強みがある。
Suicaもとより「交通系IC」は今や誰もが利用するサービスだ。
それは、普段の決済のためではなく、「電車に快適に乗るために」。
今のQR決済のキャンペーンについて考えてみる。
各社必死にキャンペーンを行なっている。
「友人を誘うと1000円プレゼント」や「○○%分ポイントバック」など、まさに「必死」だ。
なぜここまで必死になるか?
目的はたった一つ。利用者を増やすこと。
ここまでしなければ利用者は増えないからだ。
Suicaはどうか。
今や利用しない人はほとんどいないほどのサービスとなった。
それは決済の他に付加価値があるから。
Suicaは普及のための最大の敵である「普及率」をいとも簡単にクリアしている。
これがSuica最強説を唱える一つ目の理由だ。
Suicaが勝てる理由その②
二つ目はその決済方法にある。
Suicaでの決済をしたことがない人はほとんどいないと仮定して、詳しくは説明しないが、
Suicaの特徴は圧倒的「かざすだけ」な部分だ。
私が自慢してもよくわからないが、本当に「かざすだけ」かつほとんどエラーがない。
ここで考えたいのは決済の無意味さだ。
決済はあくまでも、お金とモノの交換のための手段であり目的ではない。
本当は「面倒なもの」なのだ。
だからこそ無駄はなければないほどよい。
この点において、他に勝てる決済手段はまだ存在しない。
Suicaはなぜ勝てなかったか
この「普及率」と「決済の容易さ」を持ち合わせてなお、なぜSuicaは決済の一番手になることができなかったか。
もちろん、チャージ金額の限界等の理由もあるだろう。ただその最たる理由は、
大手クレジットカードと手を組まなかったことにある。
Suicaが現在、本格的に提携を結んでいるクレジットカードは「ビューカード」だ。
これは東日本旅客鉄道の子会社だ。(持ち株100%)
ビューカードにはオートチャージがある。
これによって、Suica唯一の弱点であるチャージという動作を消すことができる。
これを各社大手クレジットカード会社と結ぶことで普及を最大化できたと思う。
チャージ元であるクレジットカード会社を、利用者の数で決めることでSuicaのオートチャージが最大化するからだ。
Suicaが少額決済の頂点に君臨すれば、その使用データはビッグデータとなり他のビジネスにもつながるだろう。
もちろん、子会社のビューカードと提携することにより現在の利益は最大化する。
今後の一番のSuicaの目標は利用者を増やす、または決済の場として使ってもらう事ではないのかもしれない。
ただもし、利用者を増やす、特に決済フィールドとして戦うのであれば、その道もあったのではないか。